茶毒蛾の消毒と剪定してもらった椿はこざっぱりする。虫の攻撃や重厚さが小さな庭に不向きだが、亡き母が好いたというだけで蔑ろにできない絆がある。

ピーマンの若い果実に習い頭の中を空にする。濃緑の艶やかな肌を縦切りし冷やして刻み塩こんぶと和えれば、涼しげな味わいが訪れる。

夏至の夜、ろうそくの明かりとゆらゆらして先行きに不安を感じつつも、私の内なる光が消えぬようそろりと動いて、世の「エネルギーシフト」を見据える。

オリーブオイルでじっくり焼いたかぶは、塩のみでうま味を出す。付け合わせなのに主役みたいと小さな喜びを見つけては、ウツウツたる水気の多い日々を過ごす。

スーパーへ行くと日用品は整然と並び、3ヶ月前のあの光景は遠く感じる。けど突然、眼に見えない何かが、生きることって何？と追求し買い物客は哲学者にされる。

雨上がり。広い葉の上に大きな丸い貝殻を負うかたつむり。ぬめぬめと自在に二対の角を出して独りパフォーマンス。小さな庭も生物の多様な生き方を繰り広げる。

ガラスの花瓶に水色の紫陽花がよく似合う。室内でも梅雨晴れより降る日に、球状に密集した花のささやきのまことが届く。

生徒会にも似た国会の新しい代表選びは、ジャンケンで決めよう。何ものにも一切とらわれない平等なコミュニケーションツールだもの。真剣勝負で恨みっこなしよ。

国宝でない筑豊の炭鉱絵が「世界記憶遺産」に登録されたと知るや、マイ絵巻は記憶の奥で鳴り響き、取り留めなく入り乱れぱらぱら続くばかり。