2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧
飛び越えられない程の大きな水溜りは、土の歩道の真ん中。空に剥きだしの枝を広げる桜木が映る。風はまだ冷たく汚泥の水面は悲しくも、上澄みに咲き姿を見せる。
友からの手紙と小冊子「原子力発電のミニ手引書」は、アメリカ議事録に似ておののきふるえる。天が与えた課題に、先ずは自分の甘い判断を捨ててぶよっと感の腹くくる。
庭の白梅の春が遅い。早く来てと願いつつ、元気印だった友の近況と重なる。黄緑色の蕾が、きわまる寒さの中へ兆す何かを見逃すまい。
海綿スポンジのように吸い寄せるまちのスタイリッシュな図書館。ゲートを通ると、目前のカフェの香ばしいざわめきが、知らない者どうしをパッチワークしてしまう。
節分の豆と塩昆布と梅干しに熱湯を注ぐ福茶なるもの。福と災いは背中合わせの現実世界で、ふくふくとした心持ちになるマメな日本サイズのティータイムだ。
立春後の日の光が春の色だ。キラキラ度を上げて、寒の底の身体を透明にするや否や語り出す。春は名のみでなく、ほら、こうして冬がだんだん明けてくるでしょ。
ビーツ・beets じゃがいも風の初めての野菜を茹でる。皮を剥くと指先を真っ赤に染め上げる驚きに、ビート・beatの音と言葉に似た深いつながりが隠れているような。
足るを知る暖から、久しぶりのデパートの空気と重ね着がかぶってじわじわ暑くなる。わあわあわあ。面白い発熱が笑わせる。