2011-01-01から1年間の記事一覧

野見山暁治展

初公開「かけがいのない空」は被災地を歩いた心象風景だ。全然わからないの溜息を突っ切って、赤い鮮やかな色彩が「生、そのものがイルージョン」と90歳超の画家の言葉と響き合う。

同じ空

ひんやりした青空に北朝鮮から激震が走る。どんな厳寒の空気も互いを思いやる気持ち から緩む気がする。3.11の義援金もかの国の人民の働きから。

雑巾

桃色や水色の雑巾は水仕事を面白がってさっとやる。マイクロファイバーのなすがままやるようだ。視覚も感触も手玉に取って大したもんだ。

ホットドリンク

ガラスカップに生姜蜂蜜漬を入れ熱湯を注ぐと、薄片が踊って琥珀色に揺れる。透明の黄色の液体が身体を巡れば、ささやかな温かみあるひととき。

贈り物

友より手作りの贈り物は、親指ほどの木製サンタクロース。平板の小さい顔に喜怒哀楽を表に出さず、祈りのクリスマスにそっと近づく。

冬の朝顔

近所の垣根に朝顔を設えた前を行くと昔の光景がふっときた。夏休みの宿題に蝉の声と育てたラッパ形の淡い藍色の大輪のこと。冬に堂々と夏を連れ出す花の力よ。

今年の師走

小雨降る日の外出も、左右に大きな街路樹のある道にする。回り道だけど何故かいつも気が整う。今年の師走は、この空気感をチャージすれば邪気を払えるかもしれない。

女子会

骨休めは学生時代の女子会で主役は介護をする友。スパイスの効いた話がランチを一味違ったおいしさにして、年月を重ねても止まないお喋りに弾みがつく。

秋映

晩秋の「秋映」が好きだ。濃い赤に星をポチポチまとい密やかに香る。東北の青空に広がるりんごを口にすれば、深い味わいがゆるやかに降りて来る。

国民総幸福

昨夏ブータンに滞在した友から「国民総幸福GNH」を知り、来日した国王王妃の温もりの映像に、握手した福島のこどもたちから喜びをもらう。人口70万人のこぢんまりした国から真の幸せが学べる。

白い半月

窓を開けると水色の西の空に月齢22.3の白い半月。すぐそばにケヤキの高い枝に残る葉は揺れて、向かい合う朝日のキラキラ点滅が愉快を誘う。

大きな銀杏

近くの大きな銀杏は大胆に切られて棒状の裸木になり、秋ごとの黄金の輝きを失う。布で幹をいたわりつつも、街角の道祖神のように立ち尽くす姿を仰ぎ見る。

立冬

手が、ほんのり温かく感じる水道水から立冬と知る。地下水80%ミックスのすごい技。顔を洗えば、湯より心まですっきりする。

小菊が香る

地表に低く小菊が広がる。白いカップにたくさん活けると、香りと小さい花弁の紫色が深まり、部屋に秋菊の精霊が揺らめく。

生存相当量

地球46億年の歴史に今日、世界人口70億人へ。皆が生きる最低限の「生存相当量」の概念を国際NGO会議で提案した識者はもういないが、各国の公正が計られる「サバイバル」のキーワードが蘇る。

木枯らし1号のあと

木枯らし1号後のさわやかな陽気で、ゆるっと筋トレを習い続ける。北風小僧と合う頃は、目覚めたインナーマッスルが個体を揺るがすかもしれない。

日本画家・石踊達哉

3・11後の「記憶都市」に対峙すれば金銀の切箔やきのこ雲風な造形に、鎮魂と祈りの気持ちが結晶する。図録にサインを貰う時、画家の鋭い眼光が身体を射る。

武蔵野プレイス

駅前の芝生広場から続く公共施設「プレイス」は今夏開館。ぐるっと巡れば赤ちゃんからシニアまでOKの空間は自慢気だ。読み書き集う心地はふんわりしていつまでもと思わせる。

犬の気持

前の黒い大型ドーベルマンがくるっと振り向き、若くはないねと認め合う。犬の気持を代弁した飼い主のにこやかなこんにちワンや木漏れ日が親しいケヤキ並木の歩道。

バザーの物品を届ける

届け手も受け手の大学生も今年は特別の気合が入る。地域の学園祭用バザーに供する時、被災地への思いの通底音が聞こえてその場は和み力強い。

もしも米国の若者なら

もしも米国の若者ならウォール街の抗議活動に。各人が幸せを感じる暮らしは革新的経済システムが必須だが、切羽詰まったデコボコのエネルギーから始まる気がする。

きんもくせい

あちらこちらから申し合わせたように金木犀が香り始めるや、朝から夜更けまでほのかに語り続ける。皮膚が晴れるまたとない機会を捕まえて。

筋トレ

太ももの裏側の筋肉がぶるぶるガンバル。汗が滲む。楽をしないでがんばる。体操教室の筋トレで「頑張る」の言葉の脂肪も燃える。

なしの味

緑か茶のせいぜい2色使いの地味な風貌の梨が、ザクッとした舌触りに甘さを広げる。ごつい形を超えて今年の気分に近づいて、初めて親しい水菓子になる。

けや木

街路樹の欅の幹は堂々だが、よく見ると苔むし皮も剥がれてる。小さな切なさが大きく変わる前に昨日の台風の仕業にして、積もった枝葉を踏まないように歩道を行く。

洋画家・野見山暁治

3.11後の三陸を歩く画家の映像は、滅び行く永遠の命の痕跡を解く。昔見た海のデーモンが暴れた大波立つ具象でも抽象画でもない海の景色と重なる。90歳の審美眼は痛い場所の感じ方を変更する。

所信表明

黄色の薄いまな板を買い足して重ね着のように使うと、料理は楽しいの「所信表明」と 「正心誠意」の生活者にわあいとグッズの存在感。

夕立

新内閣の出端を折る出来事がジクジクしみる。突然、夕立が西日のなか激しく来て去る 現象に、泣き笑いのような感情が湧き出て溶け込む。

電車だ

あっ電車と行き交う幼子の指差しに高架線を見上げる。銀色の車体が光り去るだけなのに、動画のように次は何と心が連れ出される。

炒め物

炒め物は強火がピーマンとちくわは弱火でとレシピに。我慢して炒め続けると鷹の爪と蜂蜜らが絡みあい、ピリ辛甘みのお味をぜひとツヤツヤの食材が話し出す。