2010-01-01から1年間の記事一覧
分けてもらった新米を炊くと一粒づつ白く輝いて美しい。生物は暑すぎた今年の夏を共に生きたのだ、と気分が一新する喜びに包まれる。
アイス枕は煩いごとを冷ましてくれた。さらに夢の中で、昔のゴツゴツ氷枕の感触が頭のツボを刺激してくれた。猛暑の記憶を少しだけ涼しく置き換える。
ぬるぬるのオクラを花オクラで包んで食べる。初めて味わう大形の黄色い花ってドキドキする。5枚の花びらが真夏の太陽に熱愛された物語にだ。
「アンネの日記」は「乙女の密告」に尊厳の問題を与えるが諧謔的だ。遠い昔オランダの「隠れ家」に旅した私も小説に飛び入りして、歳を重ねた今の私にアイデンティティを問い直す。
止まらない暑い夏に、自動製氷機から何度も何度も氷のかけらを口に運ぶ。溶けるまでのわずかな時、透明ニンゲンになるのがたまんない。
ぐったりした庭の草木に水をまけばゴクゴクと染みる。あたりは急に黄金色から夕暮れが迫り、暑すぎる昼と夜の隙間に8月が過ぎる。
じりじりと厳しい暑さの今日、夜は丸い月が出る。I am here と光ってどんな国の人にも別け隔てなく照らす。
鶏肉に塩と上から重しをして、皮から出る油分だけで焼く。炎暑も一緒にジューと黄金色になって皮パリッパリ。黒胡椒も参加したいって。
洗い上がったキッチンマットのすき間に蟻が動く。洗剤あびて中でぐるぐるしたでしょ。なのに生き残ってすごい。休んでと土へ戻す。
暑さが振り返す日は熱い緑茶を飲む。ゆるやかにエネルギーがチャージされる。ようやく心の窓が開く心地がしてほっとする。
出かける途中、ハッハッハッとラブラドルレトリバーと妊婦の散歩に出くわす。暑い夏も飼い主と生きていくよ、と白い大きな犬は人より前へ歩いていく。
久々の「橘川節」は、身近な人々の死の軌跡から未来の電子ブックが語られた。残響は今日の雨になって地に注ぎ、炭酸水に混じって喉を通る。
猛暑の地中に深く根をはり地面に低く広がる雑草。人間の生きるヒントを見せるみたいで、庭の草取りはよけいに汗が出る。
狭い駅前通りからまっすぐ広がる道路。真夏の夕暮れに歩道や車道の光が輝く。電線を地下に埋めた光景は、交差点から日常の生活空間を見知らぬ場へ連れていってくれる。
白いキッチンに蟻の道が出現。重曹せっけん水をスプレーして彼らの社会生活を奪う。 が、極小の黒い体から甘い物への検索は、絶大な連携プレーだ。
ざっざっざー。寝入りばなを叩き起こす怪しい音。急ぎ高窓から覗くと、街灯は自由に歩く犬と飼い主を照らす。熱帯夜だからイヌを許してあげる。
強い日差しの歩道にうつる街路樹の影。木々の葉は小花のように揺れる黒いレースみたいだ。魅せられて足を止める時、暑さはちょこっと隠れる。
ぐっすり眠り目覚めた早朝。窓を開けると物干し竿にもう朝が来ている。今すぐ洗濯OKとそそのかす清々しさは、梅雨明けの挨拶代わりだ。きっと。
踏ん反り返り股を広げ大きな声で歌う。目をやると、どうだ!って応じる花柄ワンピの幼子は、ベビーカーを押されて電車を降りる。
のっぽの古木の幹は、わたしの背丈の位置に若葉と青柿を配して、かってない斬新なデザインをする。小さな庭にひっそりと驚きが走る。
電話の向こうで政治のゆくえや食料自給率の話で沸騰する。元軍国少女の責任を取るように若者と岐阜の里山で町づくりにいそしむ。80歳を超える日本国のまことの先輩だ。
あおぐ梅雨空が見えないほど、1本の桜木がまる屋根風に青葉で覆う。佇めば詰まった気持ちに、深い緑がぐいっと大入りする。
さくらんぼを口にする。W杯を終えた日本代表の言葉と混ざり弾ける。チームリーダーの「犠牲心」は吐く息と吸う息みたいに、控え組みとのバランスに貢献したのね。監督の「一つの生命体のように動くチーム」の夢をありがとう。
ふだんの暮らしのその中に、ふと心が浮き立つ。サッカー日本代表が一次突破をした雄姿から、自分の小さい闘いを重ねて励まされる。
デジカメ教室でiPadにさわった。風景が鮮やかに広がったり消えたり。手ざわり感がハイテクでもローテクでもなく、アナログでもデジタルでもない。驚きは触れるだけでわかること。
黄色の器に水を張り根元に置けば、害虫がダイビング。庭のバラが次々と咲く。長いこと投げ出してた薔薇への想いは、教わった簡単な秘法でかなう。